「口」「味覚」に関する後遺障害
口に関する後遺障害の症状や等級認定のポイントを弁護士が解説します。
「味覚」に関する後遺障害の種類(系列)
味覚に関する後遺障害は、味覚の脱失、味覚減退があります(機能障害)。
「味覚」に関する後遺障害の内容
味覚には、甘味、塩味、酸味、苦味(基本4味質)を感じます。
味覚脱失とは、頭部や周辺組織の損傷や舌の損傷によって基本4味質が全く感じられない障害をいいます。
味覚減退とは、基本4味質のうち1味質以上が全くわからなくなる障害をいいます。
後遺障害診断書の「1.他覚症状及び検査結果」欄に検査方法と検査結果を記載してもらうことになります。
(こちらの「後遺障害診断書における注意点」を参照ください)
なお、電気味覚法では1味質しか判定できないため、後遺障害診断書に記載してもらう検査結果としては不適切です。
- 予想される後遺障害とその等級
味覚脱失 12級 味覚減退 14級
「口」(そしゃく、言語)に関する
後遺障害の種類(系列)
口に関連する障害としては、1.そしゃくに関するものと、2.言語(発声)関するものがあります。
「口」(そしゃく、言語)に関する後遺障害の内容
そしゃくに障害があるかは、1.上下のかみ合わせ(咬合)、2.歯の配列の状態、3.下あごの開閉運動を総合的に判断してそしゃくに医学的に見て支障があることが前提となります。
そのうえで、以下のとおり、1.流動食、2.粥食、3.固形物の中で食べられないもの(例としては、たくあん、ラッキョウ、ピーナッツなど)があるかの順番で後遺障害等級を判断することになります。
- ・そしゃく機能を廃したもの
- ・流動食以外食べることができないもの
- ・そしゃく機能に著しい障害を残すもの
- ・そしゃく機能に障害を残すもの
- ・固形物の中に食べることができないもの
また、上記以外に、開口障害等の原因によりそしゃくに相当の時間がかかる場合も後遺障害として認められます。
後遺障害診断書の「1.他覚症状及び検査結果」欄に主治医の所見を記載してもらうことになります。
(こちらの「後遺障害診断書における注意点」を参照ください)
2.言語(発声)に関する後遺障害の内容
言語(発声)に関する後遺障害があるかは、4種類の語音(口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音)について発音できるかどうかで区別されます。
- 口唇音:ぱ行音、ば行音、ふ、ま行音、わ行音
- 歯舌音:さ行音、しゅ、し、ざ行音、じゅ、た行音、だ行音、な行音、ら行音
- 口蓋音:か行音、が行音、ぎゅ、にゅ、ひ、や行音、ん
- 喉頭音:は行音
言語の機能を廃したもの
3種類以上の発音ができなくなったものをいいます。
言語の機能に著しい障害を残すもの
(1)2種類以上の発音ができないもの
又は
(2)綴音(簡単に言うと、違う種類の語音を発音すること)に障害があり、言語での意思疎通ができないもの
言語の機能に障害を残すもの
1種以上の発音ができないものをいいます。
また、上記以外に、声帯麻痺による著しいかすれ声も後遺障害として認められています。
※後遺障害診断書の「1.他覚症状及び検査結果」欄に主治医の所見を記載してもらうことになります。
(こちらの「後遺障害診断書における注意点」を参照ください)
- 予想される後遺障害等級
そしゃくと言語の両方の機能を廃したもの 1級 そしゃくの機能を廃したもの 3級 言語機能を廃したもの 3級 そしゃくと言語の両方に著しい機能障害を残したもの 4級 そしゃくに著しい機能障害を残したもの 6級 言語機能に著しい機能障害を残したもの 6級 そしゃくと言語の両方に機能障害を残したもの 9級 そしゃくに機能障害を残したもの 10級 言語機能に機能障害を残したもの 10級 声帯麻痺による著しいかすれ声 12級 開口障害等の原因によりそしゃくに相当の時間がかかるもの 12級
歯(入れ歯)に関する後遺障害とその内容
歯に関する後遺障害としては、事故によって歯を失ったことによるものとなります。
歯を何本失ったかによって後遺障害が決まります。そのため、5本の歯を失い、事故前の歯と歯の間に隙間があったため6本の入れ歯を入れた場合には、5本の歯の喪失として後遺障害等級を認定されます。
※歯科用の後遺障害診断書に必要事項を記載してもらうことになります。
(こちらの「歯科用の後遺障害診断書」(PDFファイル)を参照ください)
- 予想される後遺障害等級
14本以上の歯の喪失 10級 10本以上の歯の喪失 11級 7本以上の歯の喪失 12級 5本以上の歯の喪失 13級 3本以上の歯の喪失 14級
※用語や後遺障害の配列については、一部分かりやすい表現や配列にしたため厳密な定義やもとの文献と一致しない部分があることをご了承ください。
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